【集中力がない子どもへ】ボードゲームを使ったやりきる力の育て方【Grit】

- うちの子は、集中力が無くて始めたことをすぐ投げ出してしまう。
- 1つのことをやりきってほしいのだけれど、いつも中途半端…
- 興味が無いのか、集中力がないのか、判断つかない。
このような悩みを抱えているママパパの悩みに答えます。
この記事はフロー状態、またはゾーンと呼ばれる脳の集中状態の話ではなく、もう少し長い期間での、
集中して、何かをやり切ること
についてまとめます。
この記事で伝えたいのは、子どもが何かを投げ出したり、途中でやる気をなくしてしまうのは「やりきる力」がまだ育っていないからだということです。
今回は、そんなやりきる力を紐解きます。
- 「やりきる力」は達成感でできていること
- 子どもがやりきる力が少ない理由
- やりきる力の育て方
- やりきる力を育てる際の最大の壁
をご紹介します。
やりきる力を身に付けた子ども達(体験談)

まず、私の体験談をご紹介します。
やりきる力がついていく子どもたちの様子を想像してみてください。
私は小学校の学童にて、ボードゲームを体験してもらう活動をしていました。
部活動やクラブ活動に参加せず、学童センターで携帯ゲームや漫画とにらめっこをしている子ども達に声をかけ、一緒にボードゲームを遊ぶボランティア活動です。
最初は無気力でやる気のなかった子が、みるみる目を輝かせて、夢中でボードゲームを遊ぶようになる様子を何度も見てきました。
特に顕著だったのが、子ども達の集中力の向上です。
初めて触れる子ども達は、ものの数分で違う遊びに移行してしまうことが多かったのですが、2週間、1か月と期間が経つにつれ、その集中できる時間が飛躍的に伸びていったのです。
最終的には、小学2年生~3年生の子どもが1時間半ほどかかるボードゲームをやりきるようになりました(学童の先生たちもびっくりしていました)
ボードゲームを通して、だんだんと「やりきること」ができるようになっていった子ども達。
なぜ彼らは、変わっていったのでしょうか。
「やりきる力」は達成感でできている

やりきった体験を繰り返すことで、人は達成感を感じるようになります。
例を挙げてみますね。
例:料理
やりきること:買い物に行って材料を買い、下ごしらえをして、仕上げをして、盛り付ける。
その出来栄えや味、食べてくれた人の感想などが結果として返ってきます。「美味しかった!」と言われると嬉しくなります。
例:受験
やりきること:教科ごとの勉強を行い、志望校の試験の傾向を分析し、体調を整え、受験当日、全力でやりきる。
何より「合格すること」で大きな達成感を得ることができます。もし残念な結果に終わったとしても、自分の全てを出し切れた!と実感できる場合は満足できます。
このように、人は、その達成感を味わいたくて、困難や課題に立ち向かうことができるんです。
子どもの「やりきる力」が少ない理由
子どもは、大人に比べて物事をやりきらずに、途中で投げ出してしまうことが多いです。
または、続けているにしてもやる気があまり無く、目標を達成することは少ないですね。
例えば、学校の勉強やクラブの練習を面倒くさがり、投げ出す傾向があるんですね。
なぜなのか、考えてみます。
やりきる力が少ない子ども
子どもは大人に比べて、圧倒的にやりきる力が少ないんです。
これは「やりきった体験」が少ないからです。
頑張った先に、ご褒美があると確信できないと頑張れないんです。
生きている期間が少ないから、仕方が無いですよね。
やりきる力が少ないと、集中力が無いように見えます。
ちょっとしたつまづきでやる気を失ったり、飽きてしまって放り出したり。
もう少し頑張れば、面白い、とか楽しい、と思えるようになるかもしれないのに、もったいない。
ママパパからすれば、そう感じること多いですよね。
やりきる力は、楽しく短い体験の積み重ねで育つ

では、そのやりきる力はどうやって身につくのでしょうか?
答えは、小さなやりきった体験をコツコツ増やしていくしかないんです。
でもどうすれば、やりきる力が少ない子どもが、やりきった体験を増やしていけるか。
答えは、「楽しさ」と「短さ」です。
ボードゲームは、この二つを兼ね備えた最強の遊びなんです。
楽しいことなら、無理なく続く
ボードゲームは、年齢別に「楽しさ」を最大化できるように設計されています。
難易度
ルールの難易度は少し難しいけれど、でもちょっと考えれば、目標に到達可能なように作られています。
- 未就学児向けのボードゲームは運の要素が多く、勝ち筋もシンプルに。
- 小学生向けのボードゲームは、思考の要素も増えてきて、勝ち筋は2~3あり選択する楽しみを感じられるように。
- 大人向けのボードゲームは、より複雑に、より自分らしさを表現できるように。
簡単すぎても、難しすぎても子ども達は集中することができません。
ちょっとだけ背伸びすれば届くかもしれない難易度、それが自分自身の成長実感や自己効用感につながり、ものすごく楽しく感じるんですね。
テーマ
その年齢の子どもが気に入るようなテーマで作られています。
- 未就学児向けのボードゲームは、動物やファンタジー、食べ物や色遣いがカラフルなもの。
- 小学生向けのボードゲームは、宝探しや陣取り、お買い物やレースなど大人の世界を垣間見る。
- 大人向けは、ボキャブラリーが試されたり、ビジネスや生活を抽象化したもの。
さらに子どもによって好みがあります。
わが子が気に入るテーマを探すのも、楽しいですよ。
ボードゲームがきっかけで好きなことが見つかるかもしれません。詳しく解説した記事がありますので是非。
短い期間でやることなら、飽きることなく続く
ボードゲームは、集中力に大切な「集中の限界時間」に配慮しています。
- 未就学児は年齢+1分程度
- 小学生低学年は15分程度
- 小学生高学年は30分程度
- 大人は90分程度
ほとんどのボードゲームの「適正年齢」と「プレイ時間」はこの集中時間の限界を考慮し、設計されています。
短いスパンで繰り返し、楽しみながら勝ち負けを繰り返すボードゲーム。
子どもの小さな達成感を積み上げるのに、最適な遊びの一つだと思います。
最大の壁は「負けること」
ただ、ボードゲームの特性上、必ずぶつかる壁について説明します。
子どもの「勝ち」への執着

子どもは勝ちへ異常なほど執着します。負けることを極端に嫌い、回避しようとします。
時に、子どもは負けそうになると、テーブルをひっくり返し、途中でゲームを放棄することもあるでしょう。
やりきる力を身に付ける機会なのに、逆効果なのでは…?と感じるかもしれません。
これは、生存本能によるものだと考えられています。
動物の世界で考えれば、
- 負ける
- 捕食されるor子孫を残せない
- 生存確率が減る
ということであり、命の危険を遺伝子レベルで感じているのだと思います。
負ける練習としての価値
ただ、人間の世界では、「負け」で命が脅かされることはほぼありません。
これはボードゲームに限ったことではなく、社会のあらゆる勝敗がつくことで、言えることだと思います。
同じ負けにも、次につながる良い負け方が存在し、それは負けを繰り返し経験した子どもが獲得する立派なスキルとなります。
逆に、負けることをたくさん経験した子どもは、その小さな挫折を成功に活かす術を身に付けているものです。
投げ出してしまった子どもへの対応
負けて、投げ出してしまった子どもに対しては、無理に最後までさせる必要はありません。
まずは、時間を置きましょう。子どもの心の中で、悔しさを落ち着かせる必要があります。
落ち着いてきたら、一緒にやっていた相手として、一緒に遊んで楽しかったこと(勝ち負け関係なく、あなたと遊べて楽しかった)、次は最後までできればいいね、ということを伝えましょう。
現代の遊びや学びの場は、できるだけ勝ち負けを避ける傾向にあります。
慣れていない子どもは、最初は自分の中に湧き上がる感情にびっくりしてしまうかもしれません。丁寧に、対応してあげてください。
ボードゲームに初めて触れる親子が、必ずと言っていいほどぶつかりがちな課題を先にご紹介しておきました。
まとめ:やりきる力を育てるボードゲーム
いかがでしたでしょうか。
やりきる力を伸ばせば、今後達成したいことが見つかったときにそれを実現する可能性が高まります。
子どもたちの可能性の幅を広げる大事な能力だと思います。
ただ、やりきる力は子どもが自分で何かをやりきったときにしか強化されません。
そのきっかけづくりとして、ボードゲームを活用することをお勧めします。
大事なことは、2点です。
- 子どもが好きなテーマと、子どもが集中できる限界時間に注意してボードゲームを選びましょう
- 途中で投げ出しても、それは子供の成長のチャンスです。大切に見守りましょう。
沢山のご家庭や学校、学童などで「やりきる力」を伸ばす子供たちが増えることを願っています。
ご家庭の時間にボードゲームを取り入れてみたいな…と思った方のご参考になる記事があります。是非こちらもご一読ください。