本気のごっこ遊びでお金の稼ぎ方を学ぶ【家庭でできる金融教育】
- 子どもへの金融教育とか、お金の勉強が大切っていうのはよく聞くけど…具体的にどうすればいいのかな。
- 買ってきた金融教育の教材に、子どもが興味を示さない…。
- お金の稼ぎ方ってどう教えればいいの?
そんな悩みを解決する「本気のごっこ遊び」によるお金の教育の事例を紹介します。
また「本気のごっこ遊び」に向いている題材を一覧的に紹介します。
家庭内のちょっとした工夫で、楽しみながらお金のことを学部ことにご興味がある方は、是非最後までご覧ください。
結論:本気のごっこ遊びで「お金の稼ぎ方」を学べる
この記事で紹介する「本気のごっこ遊び」とは、
- 世の中にある職業の一つになりきり、
- 家庭内で事業化すること
を指します。
つまり、現実社会で行われていることを家庭内で再現するということです。
ヒーローごっこやおままごととは違い、本当にその職業の仕事をやりきります。
なぜこれでお金の稼ぎ方が学べるのかというと、以下の3つを体験できるからです。
- 人の困りごとを解決する体験
- 自分の力でお金を稼ぐ体験
- 事業を興す体験
少し分かりにくい概念なので、まずは1つの事例をご紹介し、本気のごっこ遊びの全体像と効果をご紹介します。
その後「本気のごっこ遊び」に向いている職業をピックアップしリスト化したのでご紹介します。
おうちで、お子さんと楽しみながら金融教育ができるメソッドです。
お金の勉強のやり方に悩むママパパのご参考になればうれしいです。
この記事では、私が主催しているボードゲーム会でご一緒しているご家族の田中家(仮名)でのエピソードを中心に、その価値とポイントを紐解きます。
本気のごっこ遊びの例:スムージー屋さん

ボードゲーム会でご一緒していた田中さん家(仮名)の、小学2年生の女の子であるもえちゃん(仮名)が家庭内で開業しているのが「スムージー屋さん」です。
非常に参考になったので、開業に至るまでの経緯と、開業後の経過をご紹介します。
スムージー屋さんの開業の経緯
もえちゃんがスムージー屋さんを本気のごっこ遊びとして実践するまでに、こんなエピソードがありました。
パパの朝ごはん、私が作ってみる

田中家のパパさんは40代半ばに差し掛かり、段々とおなかにお肉がついてくる年頃。
ママさんは、もえちゃんに「パパは昔はスマートだったのにね~」とよく言っていました。
ふ~ん、と聞き流していたもえちゃんはあるとき、昔のパパの写真を見てびっくり!
横幅が今と比べて半分、筋肉質なすらっとしたパパがそこにいました。
すらっとしたパパはカッコいいなあ、と思って、パパに伝えたことがありました。
もえちゃん「パパ、昔みたいにかっこよくなって欲しいなあ」
そういわれたパパは、うん、頑張るね、といったものの、その後食事制限をしたり、運動をしたりする様子は無かったのです。
もえちゃんはママに相談しました。
もえちゃん
「どうしてパパは痩せようとしないんだろうね。」
ママ
「もえちゃんが、パパを痩せさせてみたら?どうすれば痩せるか、考えてごらん」
もえちゃんは頑張って考えました。
- パパって、朝ごはん食べないよな…。
- この間見ていたテレビで、朝ごはんをちゃんと食べると元気になるし、痩せるって言ってたな。
- 美味しい朝ごはんなら、パパも食べてくれるのかも。
そう考えたもえちゃんは、ママに「わたし、パパの朝ごはんつくってみる」と提案しました。
スムージーなら、パパが飲みやすいはず
もえちゃんとママは、会話を続けます。
ママ「パパってなんで朝ごはん食べないと思う?」
もえちゃん「いつもお寝坊して『遅れる!』って、慌てて会社に出かけてるからかな」
そう考えたもえちゃんは、早く、簡単に朝食が取れるメニューを考えます。
もえちゃん
「バナナならすぐ食べれそう」
ママ
「いいね!でも毎日バナナは飽きちゃうかなあ」
もえちゃん
「じゃあ、バナナスムージーにして、毎日味を変えるのはどう?」
ママ
「それ最高。」
二人はパパに、バナナスムージーをパパの朝食メニューにすることを伝えます。
パパは、もえちゃんとママがそこまで考えてくれたことに感謝し「ありがとう、よろしくね」と言っていました。
もえちゃんとママはその日のうちに、バナナと合いそうなフルーツをスーパーに買いに行きました。
私がつくったスムージーをパパが飲んでくれて嬉しい

早速次の日の朝、もえちゃんはママと台所でバナナスムージーをつくりました。
いつも通りギリギリまで寝ているパパは、「遅れる~!」と言いながら起きてきました。
もえちゃん
「はい、パパ。スムージー作ったよ」
パパはありがとう!と言って、コップを受け取り、一口飲んでみました。
パパ
「美味しい!こんなおいしいスムージーは初めてだよ。」
パパは本気でそう思っていました。
もえちゃんとママは「大成功!」と大はしゃぎ。
もえちゃん
「バナナと豆乳、きな粉をいれたよ」
美味しさとダイエット効果をしっかり考えたメニューです。
パパはもえちゃんの頑張りに感激して、思わず「もえちゃん、これ、売れるレベルだよ」と言いました。
もえちゃんは、「売れるレベル?」と分からない様子。
ママはピンと来て、
ママ
「パパ、お買上ありがとうございま~す」
と言いました。
パパはふざけて、100円を財布から出し、もえちゃんに渡しました。
私が嬉しいのに、私がお金をもらえるの?
もえちゃんは???という顔をしています。
ママ
「もえちゃん、パパは、パパが困っている『朝ごはんが食べられない』ことを解決してくれたお礼に、もえちゃんにお金をくれたのよ」
もえちゃん
「パパに痩せて欲しいのは私なのに、私がお金をもらえるの?」
パパ
「そうだよ、パパがとっても感謝してるからね」
ママ
「もえちゃんは立派なスムージー屋さんだね」
これがもえちゃんがスムージー屋さんを始めるきっかけになった出来事です。
開業後の経過

その後、もえちゃんは自分でメニューを考え、スーパーに行き、貰ったお金を原価に材料を仕入れ(ママのお手伝いあり)、パパのスムージー屋さんを続けました。
一杯100円。これをパパの出勤日は毎日販売する。
パパが会社に行くのは1ヵ月のうち20日間だから、ひと月で2000円の売上です。
最初はママが材料の値段の足し算をして、原価計算を手伝っていたのですが、ひと月もしないうちに自分でやるようになりました。
パパが飽きないように、味も変えつつ、当初の目的のダイエット効果も考えたメニューを毎日考えています。
最初は原価と売価がとんとんになるようにしていたのですが、ママの助言もあり少しずつ利益を出せるようになりました。
もえちゃん
「ママ、この余ったお金はどうするの?」
ママ
「もえちゃんのお金だよ。好きなことに使っていいよ」
もえちゃん
「え!?いいの?!」
「プリキュアのシール買いたい!」
いつもはほとんど買ってもらえないプリキュアのシール。
ママ
「もえちゃんが稼いだお金だから、良いよ。」
もえちゃんは大喜び。
自分の稼いだお金で、自分が欲しいものを買う。
ふとしたことがきっかけで、もえちゃんはお金の稼ぎ方を体験しました。
本気のごっこ遊びの成功ポイント
もえちゃんのスムージー屋さんを例に、本気のごっこ遊びがお金の教育につながったのはご理解いただけたと思います。
この事例のように、上手くいかせるためのポイントを整理して、再現性を高めたいと思います。
ポイントは、3つです。
- 解決策を自分で考える
- 本当にお金を渡す
- 稼いだお金を使う
それぞれ、解説します。
解決策を自分で考える

田中家ママは、もえちゃんに「パパってなんで朝ごはんを食べないと思う?」という問いかけからスタートしました。
なぜ、問題が発生しているのか。
問題解決の基礎である、原因の深堀りを促しているんですね。
そしてもえちゃんは、自分なりに「原因」の答えを見つけます。
パパは、朝、時間がないから食べないんだ。
さらに、その原因を前提として、ありたい姿に近づける解決策を思いつきます。
早く簡単に朝食が取れるメニューにすれば良いんだ。
ここまでを、ママのサポートを受けながら自分で考えて、実行している点が重要な成功ポイントです。
本当にお金を渡す

田中家パパは、ママの「お買上ありがとうございまーす」という声掛けに応じ、現金をもえちゃんに差し出しました。
最初はふざけて渡したらしいのですが、後から考えるとこの行動がもえちゃんの「困りごとを解決すると、お金がもらえる」という大きな気づきにつながっていったそうです。
ママパパは「ありがとう」という感謝の言葉を伝えつつ、お金を渡す。
子どもは、ありがとうと言われて嬉しい、それだけではなくお金がもらえるという通常の体験を超える体験を得る。
本気のお店屋さんごっこには、欠かせない要素です。
この運用は、月々のお小遣いのあげ方に組み込んでも良いかもしれません。
お小遣い運用についてまとめた記事もあります。是非ご参考にしてみてください。
稼いだお金を使う
もえちゃんは、もらったお金を次のスムージーづくりの仕入れに使っていました。
そしてスムージー屋さんが上手く軌道に乗り始め、利益が出始めたころに自分が欲しいものを買うことができています。
収益を再投資し、利益を拡大させ、自分のために使う。
まさに、事業の立ち上げから安定化までを体験しています。
さらに、自分が稼いだお金で、自分の好きな物を買うという体験は子どもにとって非常に貴重です。
初めてアルバイトをした時にその給料で何かを買ったときに感じた、あの嬉しい気持ち。
それを子どもの内から体験できることには非常に価値があると思います。
なお、子どもが地裁内に好きな物を自由に買わせることにもリスクがあると思います。その場合、現金ではなく「家庭内通貨」で渡すことでリスクを回避できます。
家庭内通貨に関して詳しく解説した記事はこちらです、併せてご一読ください。
問題の解決策を自分で考えて実行し、その対価としてお金をもらい、好きな物を買う。
この流れが「本気のごっこ遊び」をお金の教育に繋げる肝どころと言えるでしょう。
本気のごっこ遊びの題材

スムージー屋さんを例に見てきた本気のごっこ遊びですが、題材はいかようにも考えられます。
ただ、いわゆる普通のごっこ遊びの範疇を超えない題材もあります。本気のごっこ遊びに向く題材とそうでない題材があるということです。
何が本気のごっこ遊びに向く題材なのかなと考えました。
私一人の脳みそでは限界がありますので、私が主催しているボードゲーム会で、参加したママパパ達にアイデアを募り「本気のごっこ遊び」に向く題材をピックアップしリスト化しました。
読者の方のご参考になればと思い、公開します。
お子さんの興味と合致する題材で、是非「本気のごっこ遊び」を実践してみてください。
何になる? | どんな内容? | ビジネスモデル |
---|---|---|
マッサージ屋さん | パパママの腰や肩のマッサージ | 時間単価(例:20分300円) |
ベビーシッター | 兄弟姉妹のお世話 | タスク単価(例:おむつを替えたら10円) |
清掃員 | 風呂場や洗面台などの大型清掃 | タスク単価(例:お風呂大掃除で100円) |
クリーニング屋さん | 洗濯やアイロンがけ | タスク単価(例:アイロンがけシャツ1枚20円) |
コーヒー屋さん | 美味しいコーヒーを淹れて販売 | 一点単価(例:一杯100円) |
スイーツ屋さん | クッキーやケーキを販売 | 一点単価(例:ケーキ1つ100円) |
ラーメン屋さん | オリジナルラーメンを販売 | 一点単価(例:一杯200円) |
スムージー屋さん | オリジナル スムージーを販売 | 一点単価(例:一杯100円) |
ブロガー | ブログを開設し運営 | 広告収入(リアル) |
WEBライター | ママパパのブログ記事の執筆 | 文字単価(例:1000文字100円) |
プログラマー | オリジナルゲームの作成 | 請負契約(例:一件500円) 開発環境:はじめてゲームプログラミングなど |
動画編集 | ママパパのSNS発信支援 | 請負契約(例:一件500円) |
WEBデザイナー | WEBページの納品 | 請負契約(例:一件1000円) |
イラストレーター | イラストやアイコンの作成、納品 | 請負契約(例:一件1000円) |
写真家 | 写真の撮影、納品 | 請負契約(例:一件100円) |
雑貨屋さん | 手芸品の作成、納品 | 一点単価(例:一個100円) |
農家 | 農作物の栽培・収穫・販売 | 一点単価(例:トマト一個100円) |
投資家 | 家庭内通貨、または本物を投資 | 運用益収入(親支援あり) |
冒険家 | 冒険内容を文章や写真で記録し納品 | 自由 |
まとめ:本気のごっこ遊びで楽しくお金の稼ぎ方を知る
いかがだったでしょうか。
子どもは、遊びながら学びます。
勉強して得る知識よりも、楽しみながら体験することで得るものが大きいことは、直感的にはご理解いただいているかと思います。
また、子どもの将来を考えると、金融教育、お金の勉強が非常に大切です。
そこで考えなければならないのが、大人である私たちは子どもに「楽しみながらお金の勉強ができる環境」を十分に用意できているかということです。
難しいセミナーや、高い教材は必要ないと思います。ママパパのちょっとした声掛けや工夫で、おうちの中で子どもは遊びながらお金の勉強ができるんです。
この記事が、様々なご家庭内で本気のごっこ遊びにきっかけになることを願っております。