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【書評】おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密 しごとのわ【最高のお金の教育本】

  • 自分自身、教えられるほどお金のことを知らない…
  • 子どもに「お金の教育」はすべきだとは思うけれど…どのように伝えればいいのか分からない。
  • どんな順序でお金のことを教えればわかりやすいのか悩んでいる。

そんな、子育て中のパパママにピッタリの本があります。

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私自身、子育て中の父親であり、これからの不安定で不確定な時代を生きる子どもに対して、お金とは何なのか、お金とどう付き合うべきか、を伝えることが必須である、という危機感を持っていました。

しかし、今までちゃんとお金の知識を勉強したことはありません。

そんな初心者の私が、どのように「お金の教育」をすればいいか分からず、Kindleで片っ端からお金の教育本を読み漁りました。
その中で、最高の一冊に巡り合えたので、シェアしたいと思います。

この本を読むと、お金の本質が理解できる

この本を読む前の私は、これからの時代には資産運用が大切だ、とか、給与所得以外の所得を増やすべきだ、とか。

なんとなく、そういうことがお金の教育で。

それを子どもに伝えるべきなんだろうな…と考えていました。

この本を読んで、そういった先入観が180度覆りました。

あくまで、資産運用や投資、所得の分散化などは、生活を豊かにするための手段であり、お金そのものの本質を説いているわけではありません。

この本では、お金の知識を通して、社会全体と自分とのつながりを明らかにしてくれます。

そして、お金が持つ機能や効果、破壊力など、お金の本質をストーリー仕立てで説明してくれるんです。

特にこのストーリーが秀逸で、男女の中学生が何も知らないところから、だんだんとお金の本質にたどり着いていく様は、鳥肌物です。

私はこのストーリーに引き込まれて、一気読みしてしまいました。

読み終わった後、なんとなく頭の中に散らばっていたお金の知識のピースが集まり、パズルが完成した気持ちにもなれました。

自分自身に足りていなかったお金の知識における体系化と、どの順序で伝えればそこにたどり着くか、が同時に達成できる凄い本です。

著者のプロフィール

名前:高井浩章さん

1972 年、 愛知県出身。 経済記者・デスクとして 20年超の経験をもつ。専門分野は、 株式、債券などのマーケットや資産運用ビジネス、 国際ニュースなど。三姉妹の父親で、初めての単著となる 本書は、娘に向けて 7 年にわたり家庭内で連載していた小説を改稿したもの。趣味はレゴブロック とスリークッション(ビリヤードの一種)
(本書より引用)

noteも執筆されており、1万4千人を超えるフォロワーを持つすごい方。

記者の方なので、文章が本当に読みやすく、洗練されています。

ちなみに、私のブログのテーマであるボードゲームの教育的効果について、同じご認識をお持ちのようで、これまた嬉しい限りです。

「おカネの教室」の概要

この本は、お金の教育本としては異質でして、学園モノ系の小説をフレームとしています。

中学生の男女二人と、変わった顧問の3人が、不思議な部活「そろばん勘定クラブ」で議論し、お金に対する考えを深めていきます。

最初は乗り気ではなかった中学生男女の二人が、お金の持つ魅力に触れていくにつれ、そろばん勘定クラブの活動にのめりこんで行くんです。

この本は、「お金を手に入れる方法」を全て洗い出す、という大きな議題を基本として、物語が進行します。

それを主軸に、「かせぐ」や「もらう」などその一つ一つを丁寧に考えていきます。

「ぬすむ」がお金を手に入れる手段として議論されるという、ノーガード待ったなしの熱量でお金について白熱討議が交わされていくんです。

「ぬすむ」は単純に窃盗することだけではなく、合意なく相手から搾取することも含まれると語られおります。

リーマンショックの時の銀行家が例に挙げられており、深いです…

また、の中の様々な職業、例えば自衛隊やバイシュンフ、パン屋などを、「お金を手に入れる方法」に当てはめて、社会全体を経済の視点で俯瞰します。

このお金についての議論と、登場人物の家庭事情や人生の背景が非常にうまく重なっており、読み応え抜群です。

ちなみに、私の大好きなボードゲーム「ワードバスケット」がさりげなく登場します。

作中でルールの説明はしていないのに、プレイ風景を文章で描写するだけで、何をしているのかわからせる、という文章力には脱帽です。
凄すぎる。

お金を得る方法を説明する「順序」が素晴らしい

先ほども書きましたが、この本は「お金を得る方法」を主軸に議論が進んでいきます。

素晴らしいのは、そのお金を得る方法の説明する順序です。

日常生活に最も近い「かせぐ」や「もらう」からスタートし、「ぬすむ」の多様性、「かりる」と「ふやす」の表裏一体、そして最後の「○○○(これはネタバレになるので伏せておきます、気になった方はぜひ本書をご覧ください)」と、直感的に分かりやすいことから始まり、だんだんと生活感がなくなっていく距離感が秀逸です。

お金のことを難しく捉えてしまいがちな原因は、この距離感を無視した「情報の点在化」なんだと感じます。

算数や数学は、お菓子の個数から代数を知り、ケーキの切り分け方から平面幾何を知るように、生活に身近な話からだんだんと知識を得ていくからこそ、子どもでも理解できるんだと思います。

私はこの本で最も感動したのはその点で、お金の教育についても、伝える順序が重要だということに気づかされました。

ピンポイントで、投資や資産運用だけ伝えても意味がない。

実体を持った「お金の教育」のあるべき順序を知ることができました。

体験型の伝え方も秀逸

作中に登場する講義の中で、様々な伝え方が登場します。

  • 100万円を「かりる」方法を考える
  • 知的障碍者の方が働く工場を見学し、お金を「もらう」ことを考える
  • 自分の生活背景と、講義の内容を絡めて意見を言う

などなど、子どもにとって手触り感がものすごくある「お金のイメージ」が可能な体験型講義は、今後自分の子供にお金の教育をする際に非常に参考になりました。

まとめ:お金の教育を始める前に親が読んでおくベスト本!

私自身は、近い将来に小学生や中学生になる子どもに対し、お金の教育に良い本を見つけたいな、という気持ちで本を読み漁っておりました。

しかし、親として、大人としてまだ体系的にお金の教育を伝えるに値する理解ができていないことに気づかされました。

「おカネの教室」で教えてもらえたことを主軸に、更に深く考え、社会の動きや自身の立場を再度考えたいと思います。改めて「お金の教育」を整理しなおす非常にいいきっかけになりました。
この記事を読んでくださった方の中で、この本を手に取り、私と同じ気づきを得る方が増えてくれることを願っています。

「そろばん勘定クラブ」の一員となり、お金の教育を考えてみませんか?

私も、お金の教育へのボードゲーム活用術を検討したことがあります。この本を読んで、更にアップデートしようと思います。

最後に、著者の高井浩章さんに感謝の意を表し、結びといたします。

素晴らしい本を、誠にありがとうございました。

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